脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が盛んな部位にできる湿疹の一種です。
主に頭皮、顔、髪の生え際、眉毛や眉間、口の周り、鼻の周り、耳の周りや後ろ、腋の下、足の付け根、へそやへその周囲、胸部、乳房、肛門、臀部、陰部（性器）などに発症します。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎の主な原因は、皮脂中のトリグリセリド（中性脂肪）がマラセチア菌などの皮膚の常在菌により分解され、その結果発生した物質が刺激となって発生すると考えられています。
マラセチア菌は皮脂を好むカビで、皮脂が増えるのは、寝不足、ストレス、ビタミンB不足のときと考えられています。
脂漏性皮膚炎の症状
脂漏性皮膚炎の典型的な症状は、皮膚の紅斑（皮膚表面が赤くなりますが、圧迫すると赤みが消えるのが特徴です）、かゆみ、べたつき、かさつき、そして皮膚のはがれ（フケ）です。患部は赤みがあり、やや黄色味を帯びた湿り気があるフケ、または乾燥したうろこ状のフケが出ます。
ひどいとフケが固まって、かさぶたのようになることもあります。
脂漏性皮膚炎の診断・検査方法
別の皮膚疾患との区別が必要な場合もありますが（稀に生検（皮膚細胞の顕微鏡検査）を行う場合もあります）、通常は医師の視診と問診で脂漏性皮膚炎の診断は容易です。
脂漏性皮膚炎の治療方法
脂漏性皮膚炎のもっとも重要な治療は皮膚を清潔にすることです。
皮膚に刺激を与えないように清潔に保ち適切に保湿を行います。
マラセチアという真菌（カビ）が要因になるため、抗真菌薬が含まれた塗り薬や、炎症が強い場合にはステロイド外用薬で治療を行います。
その他にビタミン剤や抗アレルギー薬、漢方薬などが使われる場合もあります。
また、皮脂分泌が多くなるような食事を避けたり、ストレスとうまく付き合うことで症状の緩和が期待できます。
よくある質問（Q&A）
脂漏性皮膚炎で食べてはいけないものはありますか？
食事との関連は無いと考えられます。
脂漏性皮膚炎のセルフチェック方法はありますか？
生え際の痒み、赤み、フケが増えたなどがあれば脂漏性皮膚炎の可能性がありますが、原則的には皮膚科医の視診が第一です。
自己判断は他の疾患の見落としなどのリスクを伴いますので、心配でしたら皮膚科を受診してください。
脂漏性皮膚炎の市販薬は効果がありますか？
ステロイド外用薬や、抗真菌薬入りのシャンプーなどで効果がある場合があります。
漫然と使用せず、改善が見られなければ皮膚科を受診しましょう。
脂漏性皮膚炎が頭皮にできた場合の治し方は？シャンプーで治りますか？
症状を改善させるためにはステロイドの塗り薬と、抗真菌薬(殺カビ剤)の塗り薬を使用します。
保険適応になっている薬剤で、コムクロシャンプー®️というステロイド入りのシャンプーがあり、非常に治療効果が高いです。ショートコンタクトセラピーと呼ばれ、副作用が少ないのが特徴です。
再発予防には、抗真菌薬入りのシャンプーが効果的です。
脂漏性皮膚炎と乾癬の違いは何ですか？
全く病因も症状も異なる疾患です。皮膚科医であれば診断は容易なので、心配であればご相談ください。
脂漏性皮膚炎とフケの違いは何ですか？
フケは皮膚の角化が亢進して周囲に角質が落ちる症状の事を指します。脂漏性皮膚炎の症状の一つです。
アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎などでもフケが出る事はあります。
脂漏性皮膚炎が治らない場合はどうすればいいですか？
自己判断での治療を行っている場合は、まず皮膚科を受診しましょう。
通常の皮膚科での治療を行えば治りやすい疾患です。同じ治療をしていても改善が認められない場合は、他の疾患の可能性があるので、検査を行います。
診断が難しい場合は、皮膚を切除して組織検査を行うこともあまります。